Eclipse PDT 統合環境
WordPress を構成するテーマやプラグインファイルの実態である PHP 言語ファイルの修正は一般的なテキストエディタでも可能ですが、統合環境と呼ばれる言語専用の開発ソフトウェアを使うとより便利です。
PHP 言語の統合環境はいくつかありますが、ここでは Eclipse PDT (PHP Development Tools) のインストールを紹介します。
The PDT project provides a PHP Development Tools framework for the Eclipse platform. This project encompasses all development components necessary to develop PHP and facilitate extensibility. It leverages the existing Web Tools Platform (WTP) and Dynamic Languages Toolkit (DLTK) in providing developers with PHP capabilities.
Eclipse PDT を使った PHP 編集は、テキストエディタを使った場合と比較して次のような特徴があります。
- PHP 編集時にリアルタイムでその構文のエラー申告が行われます。 これは行末のセミコロン忘れなどを動作前、未然に防ぐことができる機能です。
- 予測できる範囲で構文の入力補完ができます。 たとえば関数の完全なスペルを覚えていなくても、統合環境が候補をだしてくれるため入力ミスを防ぐことができます。
- ソースコード中で宣言部分へのタグジャンプが可能です。 呼び出し元関数から呼び出し先関数へワンキーでジャンプできます。 テンプレートタグなどの引数を知る場合にや WordPress 動作の解析に便利です。
- WordPress の開発チームが用いている Subversion との統合が可能です。 最新版 trunk やリリース版の tag などを簡単にローカル環境に取得できます。 また更新ログの確認も容易です。
- PHP 組込み関数のマニュアルが簡単にひけます。
- 実行のソースコードを途中でとめて、その動きを監視するデバッグが可能です。
以上から、ある程度大きなテーマやプラグインの作成や、WordPress 自体の解析ではテキストエディタを使うよりも効率的に作業が進むと思います。
統合環境はそれ自体が大きなアプリケーションですので、お使いのコンピュータはある程度のスペックが必要です。 特にメモリは 2G 以上つんでいたほうがうまく動作するでしょう。
もし、実施する作業やコンピュータのスペックの要件が合うのであれば試してみると良いかもしれません。
尚、Eclipse PDT はおよびその動作環境である Java は、Windows、Linux、Mac OS X などで動作可能で、ライセンスに従い無料で使うことができます。
JRE のインストール
Eclipse PDT は、Java 言語によってかかれ動作するアプリケーションです。 このため、お使いのコンピュータに Java ランタイム(動作環境)のインストールが先に必要になります。 ここでは、Windows 用の JRE (Java Runtime Enviroment) のインストール手順を示します。 既にインストール済みの場合は読み飛ばしてください。
Sun Microsystems から JRE のダウンロードを行います。
無料 Java ソフトウェアをダウンロード – Sun Microsystems
お使いのコンピュータ用の Java をダウンロードしてみましょう。
無料 Java のダウンロードボタンを押下し、インストールを進めます。
インストール完了後、コントロールパネルに Java のアイコンが追加されることを確認します。
一般的には設定不要ですが、Java コントロールパネルから必要に応じて、アップデート間隔などの設定を行います。
コマンドプロンプトを開き以下のコマンドを実行し、インストールの確認を行います。
1: java –version
正しくインストールが行われた場合、以下のように Java のバージョン情報が表示されます。 ダウンロードしたものと合致していれば問題ありません。
以上で、Eclipse PDT の動作環境となる JRE のインストールは完了です。
Eclipse PDT のインストール
Eclipse PDT のインストールを実施します。 Eclipse PDT は、Eclipse 統合環境のプラグインとして動作しますが、これらをワンセットにした All in one パッケージがありますのでこれを取得します。
PHP Development Tools (PDT) – Downloads
These downloads include PDT 2.0, Eclipse 3.4.1, and all other required plugins.
Windows の場合は、All-In-One PDT 2.0 (Windows 32-bit) をダウンロードします。 より新しいバージョンがある場合はそちらを使った方がよいでしょう。
Eclipse PDT にはインストーラはありません。 .zip ファイルを展開するだけでインストールが終わります。(アンインストールもファイル削除で行えます)
XAMPP をインストールしたディレクトリと同じディレクトリに展開すると、他コンピュータに一気に環境を移行できるので便利です。 ここでは以下の位置に .zip ファイルを展開しました。
デスクトップなど階層の深いところで展開を行うとパス長の関係で展開時にエラーが出る場合があります。 その場合は C:\develop など浅い階層で展開してみてください。
1: C:\Develop\pdt-all-in-one-win32-2.0.0GA
Eclipse もまた、いくつかのバージョンをもてるようにディレクトリ名にバージョンをつけると便利です。 ファイルは以下のような配置になります。
インストールが完了しましたので、Eclipse PDT の起動を行ってみます。 以下のファイルをダブルクリックします。
1: C:\Develop\pdt-all-in-one-win32-2.0.0GA\eclipse.exe
Eclipse PDT が起動します。
インストール初回に、設定やファイルを格納するワークスペースディレクトリの問い合わせがあります。 これも C:\Develop にいれると便利なので、フォルダを作成して指定します。
1: C:\Develop\workspace
フォルダを以下のように作成します。
作成したフォルダを指定し、「Use this as the default and do not ask again.」にチェックをつけます。
Eclipse のメイン画面が起動します。
Welcome タブを閉じます。
これからは PHP の作業を行いますので、便利であろう作業スペースが事前に登録された PHP パースペクティブに切り替えます。 右上の Resouce 部分の左をクリックし、PHP を選択します。
これで Eclipse PDT のインストールは完了です。 ただし、このままではメニューが英語となっており直感的ではないため日本語化を行います。 まずは一度、Eclipse を終了させておきます。
Eclipse の日本語化
Eclipse PDT 自体はまだ日本語化されていませんが、そのコアとなる Eclipse を日本語化することで多くの部分で日本語メニューが使えるようになります。
日本語化は次のファイルを Eclipse に追加インストールすることで可能です。
Eclipse 日本語化言語パック (サードパーティ版) をダウンロードすることができます。
1: NLpackja-eclipse-jee-ganymede-SR1-blancofw.zip
こちらから「Ganymede SR1 Language Packs Eclipse IDE for Java EE Developers」をダウンロードします。
.zip を展開し以下のファイルを得ます。
この2つのディレクトリを、以下の Eclipse インストールディレクトリにあわせる形で上書きします。
操作が環境したら再度 Eclipse を起動します。
メニュー等多くの部分が英語から日本語に変更されます。(英語が残る部分は日本語化されていない Eclipse PDT 固有のところです)
Eclipse PDT の設定
Eclipse PDT で作業をはじめる前に以下の設定をしておきます。 メニューのウインドウ-> 設定の左ツリーから選択していきます。
編集ファイル文字コードの設定
編集するファイルの文字コード設定を UTF-8 にします。 テキスト・ファイル・エンコードを その他から UTF-8 に変更してください。
テキストエディタの行番号表示
PHP ではエラーが行番号で表示されるため、テキストエディタの設定で行番号が表示されていると便利でしょう。
以下から行番号の表示にチェックを入れます。
PHP マニュアルの日本語化
PHP の日本語オンラインマニュアルをひくために、ドキュメント URL の追加を行い標準に設定します。
NEW で日本語版の URL を追加します。
追加したマニュアルにカーソルをあわせて、Default ボタンを押下します。
これで PHP 組込み関数の上で SHIFT + F2 を押下することでマニュアルがひけるようになります。
テキストエディタの改行やタブ、全角スペース可視化
PHP ファイルの編集ではテキストエディタで、改行やタブ、全角スペースを可視化したほうが良いかもしれません。 これを実現するには、JStyle プラグインを導入すると便利です。(標準でも設定可能ですがあまり見やすくないため、JStyle をお勧めします。 ただし Windows のみです)
JStyle (Eclipse 改行、タブ、全角空白を表示)
Eclipse のエディタで全角空白、半角空白、タブ、改行(LF、CRLF、CR)を表示可能にするプラグインです。 他に太字を通常文字と同じ幅で表示するオプションがあります。
Eclipse を終了させ、.zip ファイル展開後、plugins ディレクトリを日本語化と同じように、Eclipse インストールディレクトリの plugins に上書きします。
コマンドプロンプトを開き、以下のコマンドで Eclipse を起動します。
1: C:\Develop\pdt-all-in-one-win32-2.0.0GA\eclipse.exe –clean
これは JStyle インストール後、1回だけで問題ありません。
以下の場所に JStyle の設定が現れればインストール完了です。
この他の設定
Eclipse にはこの他にも標準やプラグインの拡張で開発に便利な機能を拡張することができます。 以下が参考になりますので、必要に応じてインストールしてみてください。
以上で Eclipse PDT の初期設定は終わりです。
続いて、Eclipse PDT + XAMPP で WordPress の開発環境をつくる (1) でインストールした WordPress を Eclipse PDT に取り込んで、実際に操作をしてみます。